S君は、小学校の時から背が高く、中学校ではバレー部のエースアタッカー、
そしてクラシックギターがとても上手く、少し大人びた素敵な少年でした。
放課後、教室で一人「禁じられた遊び」を弾いていたS君を偶然みつけ、
あまりの美しいギターの音色に感動したものでした。
中学を卒業してからは、何十年と会っていなかったのですが、
6年前、小学校の卒業後初めての同窓会で会うことが出来ました。
S君は、ソムリエになっていました。
昔も今も素敵な人だと、感心・・・
その後、プチ同窓会が色々とあったのですが、
私は時間がとれずあまり参加できずにいました。
ところが4年前の夏に、S君とは超幼なじみというルリ子さんが、
「S君がソムリエをしているホテルに行かない?ハーブガーデンがあって、
きっと直ちゃんも気に入ると思うよ!」と誘ってくれました。
滋賀県の高級リゾートホテルです。
レストランでS君のワインでおもてなしを受け、
スパでアロマトリートメントを受けるという計画でした。
着物好きのルリ子さんと私は、真夏にもかかわらず着物を着て
京都から出かけていきました。
出迎えてくれたS君は、「お茶会でもあったの?」と不思議そう・・・
「着物を着て、君に会いに来たんだよ!」と笑う二人に、
S君はやさしいほほえみを返してくれました。
S君が写してくれた写真です
その頃は、“ロース・ラパン”の開業に向け多忙な日々を送っていた私でしたが、
この“夏の日”は、輝くような楽しい日でした。
そして、この日がS君と会った最後の日となりました。
2年ほど前に、S君がガンで仕事も休んでいると聞きました。
私は 彼は必ずよくなって元気に復活してくれると信じていました。
そして今年の4月、S君の親友のK君から、
「彼に会ってきた、もう帰ってこれないという病棟だった・・」と聞き、
それから1週間後に訃報が届きました。
この7月に「忍ぶ会」があり、同級生が集まりました。
S君は、本当にみんなから愛されていたんだと思わせるような、
沢山の友達が集まり、一人々順番に彼の思い出を語りました。
最後に、S君と中学の3年間付き合っていた女子バレー部の
のり子さんが、彼との思い出を語ってくれました。
それを聞いていると、S君が素敵な青春の時を過ごしたんだということが、
伝わってきて、心が和みました。
彼は、良い人生を歩んだのだと・・・
その数日後、驚きの出来事が・・・
「忍ぶ会」で、最後にみんなで写した集合写真が、送られてきました。
その写真に、S君が写っていたのです!!!
親友のK君の横に、
人影のような美しいブルーの光が並ぶように写っているのです。
きっと、S君はみんなに
『僕の事いっぱい思い出してくれて、ありがとう』 と
伝えにきたのではないかと思います。
私の心には、あの“夏の日”の
颯爽とホテルを歩く彼の姿が、
そして、凛々しいソムリエ姿の彼が生き続けます。
ラパン日記 | 02:01 PM | comments (x) | trackback (x)